麺は楽しい
黒門吾兵衛「年越しそば行脚」
晩秋の山里を行く

山々の紅葉が色付く「文化の日」、出来立ての「年越しそばカタログ」を担いで、黒門吾兵衛は山里を訪ねました。

黒門吾兵衛の年越しそば行脚
山越さんの奥様に丁寧に紹介する吾兵衛

吾兵衛の故郷富山県魚津市の山間の里「山女あけび
一年に一度だけの「年越しそば」は、もっとも「麺を楽しく」食べていただきたい場面です。
大晦日には、「一番おいしいそば」を食べてもらいたい。
そのために、街道筋の家々を一軒一軒訪ねました。
一風変わった出立の吾兵衛の訪問に、最初はビックリされた奥様方も、訪ねた趣旨を丁寧に伝えると安心され、話に耳を傾けていただけるようになりました。

黒門吾兵衛の年越しそば行脚

「より縁起のいいそば」を食べてもらいたいと願って、神社で「縁起祈願」をしていただいたそば粉を使った「年越しそば」を作りました。

決して「押し売り」にならないように気を配りながら、一品一品を丁寧に紹介して、お礼の粗品を渡しながら家々を訪ねて廻りました。
中には、玄関先のご挨拶だけで話を聞いていただけないお宅もありました。

或るお宅では、偶然にも吾兵衛の大先輩の実家で、そのお姉さんが出迎えてくださり話に花が咲きました。
優しいまなざしの南さんは、「年越しそばのご紹介」にも笑顔で応えて下さいました。

黒門吾兵衛の年越しそば行脚
笑顔で聞いて下さった南さん

「麺は楽しい」
このメッセージを自らの行動と言葉で伝えて、ひとりでも多くの方々に麺を通して幸せになってもらいたい

大江さんのお宅を訪ねると、奥様が納屋で農作業のあと片付けをしておられ、吾兵衛が声をお掛けすると、(やはり)訝しいまなざしで返されました。
しかし、お訪ねした趣旨をお伝えすることにより、警戒感を解かれて話に耳を傾けていただくことができました。
玄関先には、奥様が丹精込めて育てられた大輪の菊がいく鉢も飾られていました。

黒門吾兵衛の年越しそば行脚
作業の手を止めて吾兵衛の話を聞いて下さった大江さんの奥様

黒門吾兵衛の年越しそば行脚

「麺の楽しさ」は、吾兵衛がひとりだけで思っていても何の意味もありません。
食べていただく方々に「楽しさ」や「おいしさ」を直接お伝えして、実際に食べて「楽しい」「おいしい」と感じていただことによってのみ、「この世界」が広がるのだと、吾兵衛は考えています。
山女の里を後にした吾兵衛は、山を越えて次の里に歩きを進めていました。

「今年の年越しそばは、去年よりも多くの方々に、一番おいしいそばを召し上がっていただきたい。
そして『麺の楽しさ』を存分に味わってもらいたい。」
色付く紅葉を見惚れながら、吾兵衛はそう思っていました。

黒門吾兵衛の年越しそば行脚